近くて遠い国から、近くて近い国へ
―万景峰号で朝鮮訪問
 
「万景峰号で朝鮮へ」
   ―近くて遠い国から、近くて近い国へ―
朝鮮半島を戦場にさせない
         04女性のピースライン訪朝団
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 さる2004年8月26日から9月6日まで、「朝鮮半島を戦場にさせない 04女性のピースライン訪朝団」に参加させてもらって、初めて朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に行ってきました。総勢52名(うち男性1名)、新潟から朝鮮の元山(ウォンサン)まで、「万景峰92」号に乗船しての船旅でした。訪朝団の事務局の皆さんが、特定船舶入港禁止法が制定されるなか、「やはり万景峰号でぜひ訪朝しなければ」と考え、実現した企画でした。
 私が今回見てきたのは、主要にピョンヤン市内とケソン、ウォンサンまでの南部地域と、北部は白頭山付近のごく一部に過ぎませんし、短い滞在期間でしたから、ごく表面的なものだと思います。とくに飢餓が深刻で脱北者が多く出ているとされる北部の農村地帯はあまり行けませんでした。しかし、ピョンヤンは200万人が住む大都市であり、短期間の限られた地域への旅行ではありましたが、得るものはたいへん大きかったと思っています。この旅行への参加を援助していただいた皆さん、本当にありがとうございました。
 この旅行に参加して、私の「朝鮮イメージ」は大きく変わったように思います。というよりもむしろ、日本のマスコミを通じては、軍事パレードや脱北者などのイメージくらいしか入ってきていなかったのですが、朝鮮に行ってみて初めて、そのイメージがいかに貧困であったかを思い知りました。万景峰号での想像以上の快適な船旅や、ピョンヤンの人々の和やかな表情、豊かで美しい緑、きれいに区画された美しい市街地、農村風景もすごくきれいだし、荘厳なホテルなどの建物は、正直言って私の想像をまったく覆すものでした。ピョンヤン市内をバスでかなりぐるぐる回ったのですが、とりわけ軍隊や兵士にほとんど出会わなかったのには驚きました。わざといないところを動いたのだというご批判もあるかもしれませんが、あれだけバスが毎日動き回っているのに、ちょうどいないところだけを走るというのはどう見ても不可能です。もちろん軍隊の集団とニアミスしたことはありましたし、また一人二人の兵士がのんびりと談笑しているところもたびたび見ましたが、日本のテレビでいつも繰り返しているような軍事パレードは、式典のときだけのことなのだろうに、繰り返し報道されて、私の頭にも刷り込まれてしまっていたようです。普段はごく普通の人が散歩をしたり、ソフトクリームを食べたり、バスに向かってはにかんで手を振ってくれたり。ホテルの従業員の皆さんはすごく丁寧で礼儀正しい。また、医療や教育などの社会保障制度は日本では考えられないくらい整っていて、感激しました。「百聞は一見に如かず」とはよく言ったものだと思いました。
 国交がない、交流が少ないというのは、いかにあやまったイメージを抱きやすく、相互理解をしにくいものなのかを痛感しました。もっと間単に、頻繁に行き来ができれば、日朝の関係は確実にもっと良くなると思います。民衆交流の前提は、国交の正常化であると思いますので、日朝はできるかぎり早く国交を正常化すべきだと思います。日本からぜひ、頻繁に朝鮮に行くツアーが組めればいいなと思います。
 日本のマスコミの朝鮮バッシングはたいへん一方的なものだと思います。もちろん私自身としては、「日本人拉致」は朝鮮の国家的な犯罪であると思うし、核開発も朝鮮半島や日本などの一般市民をも犠牲にするもので思いとどまってもらいたい。また人工衛星の発射実験にしても何の前触れもなく日本の上空を通過させるのは危険すぎる。「先軍政治」という軍事優先の国家作りという考え方も、基本的には納得できない。また、いかに優れた業績をあげた指導者であっても、やはり故金日成主席や金正日総書記に依拠しすぎているのではないかと感じます。しかし、日本のマスコミの取り上げ方や、日本政府の主張はあまりにも一方的で、たいへん身勝手なものだと思います。日本のもっと大規模なかつての強制連行や日本軍『慰安婦』などの「朝鮮人拉致」というきわめて大規模な国家犯罪については「昔のこと」だと言って補償もしない。そして日本に住まざるを得なくなった在日朝鮮人の人たちに対して、いまだ選挙権も認めず、年金や民族学校に関してもさまざまな差別を行い続けている。朝鮮の核開発は問題にするのに、日本は日米安保で核武装した米軍に全土を基地としてただで貸している。その米軍は日本や韓国と一緒に朝鮮に向けて軍事演習を繰り返して脅しをかける。朝鮮が「米国との不可侵条約を締結できれば核開発をやめる」と主張していますが、それなら米国は不可侵条約を結べばいいのです。朝鮮の主張は不当とは言えないでしょう。不可侵条約を結ばないということは、イラクと同じように侵略するということでしょうか? 朝鮮がそれを恐れて「先軍政治」を主張して軍拡に走るのも、無理からぬことではないでしょうか。日本は米国と軍事同盟を結んで、朝鮮を威嚇しているのだということを反省して、このような威嚇的な軍事政策を改めなければならないと思います。力をかさにきている「恐ろしい国」とは、朝鮮ではなく日本なのだということを、しっかりと自覚しなければならないと思います。
 最後になりましたが、朝鮮では共和国の対外文化連絡協会の皆さんにたいへんお世話になりました。皆さんが、日朝の平和友好のために、通訳や案内・説明ほか、わたしたち訪朝団を本当に丁寧にもてなしてくださったことに、心から感謝しております。対文協のなかのお一人が、「朝鮮は軍拡をしてはいるが、それは米国に侵略されないためで、日本を攻撃などしない。日本と戦争などしたくない。戦争をしたら朝鮮も日本もせっかく作ってきた国が破壊されてしまう。日本もそんなことはしたくないでしょう?」とおっしゃっていたことはたいへん印象的でした。日朝の平和友好を求める皆さんのお気持ちに応えるためにも、日朝国交正常化を早く実現し、東北アジアの平和を築いていけるよう、がんばりたいと思います。
(藤井悦子)
 
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