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米軍・横田基地デモ報告
 さる一〇月一三日、米軍のイラク駐留に反対し、米軍横田基地の撤去を求める集会とデモが行われました。友人と一緒に、この行動に参加したので、その時の報告をしたいと思います。
 まず、横田基地の概要について簡単に説明しておくことにします。横田基地は、米空軍基地の一つとして、東京都の西地域に位置しています。行政区で言えば、福生市、立川市、武蔵村山市、昭島市、羽村市、瑞穂町の五市一町にまたがって存在しています。
 この基地には、在日米軍、第五空軍、さらには第三七四空輸団と、三つの司令部があります。第五空軍は、アラスカから中東までの広い地域を作戦エリアとしており、第三七四空輸団は、主に物資などの輸送を担っている部隊です。つまり、横田基地は、アジア・太平洋地域における最大の輸送中継機能を担っている基地なのです。かつての湾岸戦争時には、常駐機のC‐130などが出動しました。
 さらに、在日米軍の司令部として、作戦計画の研究や立案、自衛隊との合同演習の指揮なども行っています。
 飛行機としては、C‐130(ハーキュリーズ)、C‐9(ナイチンゲール)などが常駐しており、C‐5(ギャラクシー)、C‐17(グローブマスター)などが主に飛来します。これらの飛行機群は、日常的に周辺地域に騒音被害などをもたらしています。
 基地の説明はこれくらいにして、集会とデモの話に移ることにします。今回のデモは、横田基地が存在する三多摩地域で活動する反戦市民団体が呼びかけたものです。「アンポをつぶせちょうちんデモの会」、「うちなんちゅの怒りと共に!三多摩市民の会」、「ゴランPKO派兵に反対する三多摩行動」、「立川自衛隊監視テント村」の五団体が実行委員会を構成して行われました。この呼びかけに応えて、事前にこのデモに賛同した団体・個人は約一三〇を数えました。
 デモ当日、あいにく関東地方は午後から激しい風雨に見舞われました。会場となった福生公園付近も集会が開始される頃は大変な豪雨となり、皆、傘を差したり、雨合羽を被ったりしながらの参加でした。

 集会の方は、司会の挨拶に続いて、フリーライターである芦澤礼子さんのアピールから始まり、一七日に予定されていたブッシュ来日に抗議する行動への提起、自衛隊のイラク派遣に反対する歌や自衛官へのアンケート調査を実施した神奈川からの報告などが行われ、最後に横田基地の騒音被害に対する訴訟に取り組んでいる訴訟団の方から、裁判闘争の経過などが説明されました。
 集会参加者の熱気が伝わったのか、集会の半ばぐらいから雨足も弱まってきました。集会の締めくくりとして、米軍への申し入れ書が読み上げられ、シュプレヒコールが行われました。デモ行進が始まる頃には、すっかり青空が広がり、強い日差しが戻ってきました。デモ参加者は約一〇〇名を数えるまでになっていました。
 デモンストレーションは、様々な彩りの旗や横断幕、プラカードが掲げられ、歌やシュプレヒコールが飛び交いながら行われました。コースは、基地の西側である国道一六号線沿いに北へ向かうルートでした。基地の西側は、第五ゲートから北の方は、コンクリートの壁が続いており、基地の中を直接見ることはできない構造になっています。
 やがて、基地のメインゲートである第二ゲート前まで来たところで、実行委員会の代表団が道路を渡ってゲート前まで行き、米軍への申し入れを行いました。ゲート前後には、機動隊や警官隊が代表団を取り囲む壁のように立ちふさがっていました。
 申し入れは、@イラクに駐留している米軍の即時撤退、イラクへの支配・介入をやめること、A自衛隊派遣や経済負担など、日本への協力要請をしないこと、B米軍横田基地を撤去すること、という三項目についての回答を求めるものでしたが、米軍の方からは、この日が「コロンブス・デー」という休日に当たるということで、何の返答もありませんでした。代表団は、しかたなく申し入れ書を読み上げ、抗議のシュプレヒコールをデモ隊とともにあげようとしました。この時、警官隊がデモ隊を道路から排除しようとしたため、揉み合うという緊迫した場面になりました。デモ隊は警察の行動に抗議しながらも、代表団と合流して行進を再開しました。結局、申し入れ書は代表団によって基地内に投げ入れられることになりました。
 この後、沿道の市民へイラク反戦を訴えながら、解散地点である福生駅近くの公園まで無事にデモ行進を行うことができました。行動の最後には、今後とも粘り強く、自衛隊のイラク派兵に反対し、米軍基地の撤去を求める行動を継続していくことが確認されました。
 米英軍によるイラクへの不当な侵略戦争と軍事占領の結果、今も多くのイラク民衆が犠牲となり、米英軍の被害も増大し続けています。しかも、被害は米英軍だけでなく、他国の軍隊、さらにはその地域も拡大し続けています。こうした状況の中で、米軍に協力するために自衛隊をイラクへ派兵することがどのような結果をもたらすことになるのかは、おのずと明らかだと思います。
 このような状況を改善するためには、米英軍の軍事占領を即時中止し、主権をイラクの民衆に返還することが必要だと思います。今回のデモに参加して改めて、米国の戦争政策をストップさせ、これに積極的に協力しようとする日本政府の態度を転換させるためには、日本全土に駐留している米軍基地の撤去を求める取り組みをもっと粘り強く、もっと大きくしていくことが大切だと感じました。様々な地域で、ともに声をあげていきましょう。
石橋 正(会員・関東地区)