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ベネズエラ、増加する感染者と経済状況

 今回は、ベネズエラの新型コロナウイルスの感染状況と政府による感染症対策、厳しさを増す経済状況について概観してみます。

(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況

ベネズエラ政府の発表(7月26日まで)より。
累積感染者数:1万5463人
死者数:142人
致死率:0.9%
現在感染者数:5575人
 そのうち、4455人が無症状者、1029人が軽度の急性呼吸不全、65人が中程度の急性呼吸不全、26人が重度の急性呼吸不全(集中治療室に入院)
 また、4269人が公立病院、1170人が総合診断センター(プライマリケアを担う公的施設)、136人が民間クリニックで治療を受けています。
回復者数:9746人(累積感染者数の63%)

累計検査数:148万1427件(7月24日まで)
 政府は、PCR検査と簡易(迅速)検査を行っていますが、内訳については定期的に報告されていません。4月19日の時点で、PCR検査が5969、簡易(迅速)検査が33万200、合計33万6169という報告はあります。
 また、5月21日までの時点で、政府の報告をもとに汎米保健機関が推計した数値があります。それによると、合計69万7691(うち、97.7%が簡易(迅速)検査)で、PCR検査が1万6577(推計値)となっています。
※ベネズエラの人口:3222万人(2019年予測値) 国家統計院(INE)より。

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スペインの最低生活所得とベーシックインカム

 今回はラテンアメリカから離れてスペインの最低生活所得について取り上げたいと思います。ですので「番外編」という形になりますが、以前(7回目配信記事)でブラジルの緊急援助(社会的脆弱層への現金給付)について紹介しましたので、それとのつながりでこのテーマを取り上げることにしました。

(1)スペインの最低生活所得とは

 最低生活所得(Ingreso Minimo Vital, IMV)に関する法律は、5月29日に政令として閣議で承認されました。政令というのは、スペイン憲法第86条の規定によると、緊急時に政府が法律と同等の法的拘束力を持つものとして制定できるとしているものです。条文では30日以内に国会で検討されることになっています。

 政令自体は6月1日に官報に掲載されましたが、国会では審議ののち、6月10日に承認されました(賛成297、反対0、棄権59)。

 財政負担によって将来世代や年金受給者の未来を危うくするとして、IMVに最も批判的であった極右派のVOX(ボックス)も、「わが同胞が必要としている」として最終的には棄権に回りました。

 そもそも、最低生活所得という政策は、社会保障政策の一環として、2019年12月にスペイン社会労働党とポデモス連合が連立政権を作るために締結した政策プログラムの中に含まれていたものです。それが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって導入が早められたことになります。

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メキシコ、感染症対策と「新しい日常」、サパティスタの声明

(1)メキシコ政府の新型コロナウイルス感染症対策

 メキシコでは新型コロナウイルスの感染者、死者ともに増加傾向が続いています。死者数はラテンアメリカの中ではブラジルに次いで多くなっています。

メキシコの感染状況についての主なデータについて(保健省のデータ。7月5日まで)。
累積感染者数:25万6848人
現在の陽性者数:2万6295人
死者数:3万639人
致死率:11.9%
(メキシコの人口:1億2530万人 2018年 国家人口評議会より)
 致死率の高さが際立っています。その原因の1つと指摘されている医療従事者の不足については後で取り上げたいと思います。

 国内で感染例が初めて公式に確認されたのは、2月27日です。保健省のウゴ・ロペス・ガテル予防健康促進担当次官が2月28日の会見で、前日に2件の感染例が確認されたと発表しました。陽性反応が確認された2名とも、イタリアへの渡航歴があり、旅行中での2人の接触歴が確認されています(2名の居住地域は異なります)。

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キューバ、感染症対策と経済活動の再開

 今回の記事は5月18日投稿の「キューバ、感染症と国際連帯」の続編になります。
 まずここに至るまでの感染症状況について概観した上で、医療面での感染症対策において、キューバに特徴的な対策とはどのようなものであったのかについて振り返ってみたいと思います。さらにすでに始まっている経済活動の再開へ向けた動きがどう進められようとしているのかにも少し触れておきます。

(1)感染状況

 公共保健省のデータより(6月24日まで)
・累積感染者数(陽性者数) 2321人

・入院者数 155人(以下、内訳)
 ①感染が疑われる患者の入院者数 85人
 ②感染が確認された入院者数 63人(そのうち、症状が安定62人 重体0人 危篤1人)
 ③診療監察での入院者数 7人

・自宅での隔離監察者数 170人
・累積退院者数 2171人
・国外へ搬送した患者 2人(米国1名、カナダ1名)
・死者数 85人
・致死率 3.66%
・PCR検査数 15万9571件 陽性率1.5%
・人口10万人あたりの感染者数 20.5 (キューバの人口1132万人)
・累積感染者のうち、1255人が無症状感染者。また、感染源が不明な人数は101人
・県別の感染者数:多い順にハバナ(1282人)、続いてビジャ・クララ(219人)、マタンサス(205人) 

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ペルー、感染拡大から見える社会の矛盾

(1)はじめに

 ペルーで新型コロナウイルス感染者が初めて公式に確認されたのは、3月6日でした。ペルー政府の対応については以下のとおりです。

3月11日、公衆衛生緊急事態を宣言。
3月15日、国家緊急事態を宣言。
この2つの宣言の性格は異なっています。

①国家緊急事態について
 最初に発令された期間は3月15日~3月30日の15日間でしたが、今のところ6月30日まで続く予定です。
 5回延長されています。1度目の延長(3月31日~4月12日)、2度目の延長(4月13日~26日)、3度目の延長(4月27日~5月10日)、4度目の延長(5月11日~24日)、5度目の延長(5月25日~6月30日まで)。

 この宣言は憲法第137条1項に基づいています。同条は「平和や国内秩序の混乱、大惨事、または国民生活に影響を及ぼす深刻な状況の場合」に緊急事態を認めています。その場合「個人の自由と安全に関する憲法上の権利の行使、住居の不可侵性、および領土内での集会と移動の自由を制限または停止することができる」と規定しています。期間は最高政令(Decreto Supremo)によって決められます。

 この発令によって採られている主な措置は、
・陸海空の国境封鎖(3月16日23時59分から)、貨物・物資輸送を除く国内移動の禁止。
・外出規制:外出は生活に必要な物品とサービスの購入など(医療・医薬品、食料品、燃料、金融など)に
 限定される。不要不急の外出は禁止。違反した場合は逮捕・拘禁、罰金など刑事罰の対象になる。
 ※外出時のマスク着用義務化(4月2日から)。日曜日は終日外出禁止(5月3日から)。

・全土での夜間外出禁止(3月18日から。当初は夜8時~翌5時まで)。緊急時は除く。
 (のちに時間帯は変化。現在は午後9時から午前4時まで。一部例外あり)。
・パレードや集会・イベントなどは禁止。
・レジャー・文化施設は営業禁止。
・軍と警察が規制などの対応にあたる。

 また、以下の措置も採られています。
・スーパーマーケット、食品市場、金融機関での顧客対応:受け入れ人数は収容人数の50%以内。入場前の消
 毒、マスクの着用(市場・スーパーでは手袋も)、ソーシャル・ディスタンスの厳守(金融機関では1メー
 トル以上、市場・スーパーでは2メートル以上)(5月11日から)。
・14歳以下の子供について:同居する保護者同伴の下、自宅から500メートル圏内で、2メートル以上のソーシ
 ャル・ディスタンスを保って1日30分以内の散歩ができる(5月18日から)。
 これと並行して、5月以降、4段階に分けて部分的に経済活動を再開する予定になっています。

②公衆衛生緊急事態について
・最高政令第008-2020-SA号:90日間の公衆衛生緊急事態宣言を全土に発令。期間は3月11日~6月8日まで。
 6月初めに9月7日まで延長することを発表。
・立法政令1156号:住民の健康と命への危険の高まり、または被害が存在する場合、公衆衛生の公共サービス
 を保障するための措置を定める。
 新型コロナウイルス対策用の防護装備や物資の購入、人的契約に関することや行動計画の承認と実施が主な内容になっています。

 以上のような措置に関して、イプソス社が行った世論調査(5月)では、80%の人がマルティン・ビスカラ大統領の運営を支持する結果を示しています。(5月14、15日に都市部で実施。18歳以上1020名が回答)
 続いて、ペルーの感染状況について見ておきます。

 厳しい制限措置が始まってから3か月が経過する中、ペルーはラテンアメリカ諸国の中でブラジルに次いで感染者が多く確認されています。ペルーの場合は、ブラジルと違ってかなり厳しい隔離・制限措置が採られているにも関わらず、感染者数がなぜ増加しているのか、その要因について考えてみる必要があります。