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ベネズエラ 米国の軍事侵略に対する中南米地域の反応

前回の記事で載せられなかった中南米地域の反応についてまとめておきます。

①コロンビア

「コロンビア共和国政府は、ベネズエラ・ボリバル共和国でここ数時間の間に記録された爆発と異常な航空活動の報告、およびそれに伴う同地域の緊張の高まりを深い懸念をもって注視している」とコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は、攻撃があった直後にSNSに投稿しました。

さらに以下のようにコメントしました。

「コロンビアは地域の平和維持を志向する立場をとっており、緊張緩和を緊急に呼びかけるとともに、関係各国に対し、対立を深める行動を控え、対話と外交ルートを優先するよう求める。」

「コロンビア政府は、状況を悪化させたり、民間人を危険にさらす恐れのある、いかなる一方的な軍事行動も拒否する。」

「コロンビア共和国は、いかなる形態の武力衝突よりも、平和、国際法の尊重、生命と人間の尊厳の保護が優先されなければならないという信念を改めて表明する。」

②キューバ

キューバのミゲル・ディアス=カネル大統領は、「キューバは、これらの行為を国家テロ行為、平和地帯である『我らのアメリカ』に対する犯罪的攻撃、独立・尊厳・団結の象徴である国家の主権侵害、そして国際法に対する容認できない攻撃であると宣告し、非難する」と述べました。

またキューバ政府は声明の中で以下のように主張しました。

「これは、モンロー主義に根ざした『我らのアメリカ』に対する米国の覇権主義的野望を復活させ、ベネズエラとその地域の天然資源への無制限のアクセスと支配権を獲得することを目的とした、支配を目的とした露骨な帝国主義的かつファシスト的な侵略行為である。また、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の政府を脅迫し、従属させることも狙っている。」

「キューバ革命政府は、世界のすべての政府、議会、社会運動、国民に対し、ベネズエラに対する米国の軍事侵略を非難し、国際平和と安全を脅かし、世界、特にラテンアメリカとカリブ海地域において米国帝国主義による新たな支配原理を押し付けようとするこの国家テロ行為に立ち向かうことを呼びかける。」

③チリ

チリのガブリエル・ボリッチ大統領は、「ベネズエラの危機は暴力や外国の干渉ではなく、対話と多国間主義の支援を通じて解決されなければならない」こと、「チリは武力行使の禁止、不介入、国際紛争の平和的解決、国家の領土保全といった国際法の基本原則の遵守を再確認する」と訴えました。

④メキシコ

メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領は、国連憲章第2条を引用し、「この組織の加盟国は、国際関係において、いかなる国の領土保全や政治的独立に対する武力による威嚇や武力の行使も、また、国際連合の目的と矛盾するいかなる他の方法による武力の行使も慎まなければならない」と述べました。

⑤ブラジル

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、「ベネズエラ領内での爆撃と大統領の拘束は容認できない一線を越えている」とし、「これらの行為はベネズエラの主権に対する非常に重大な侮辱であり、国際社会全体にとってもう一つの極めて危険な前例となる」と発言しました。

また「国際法に著しく違反して諸国を攻撃することは、暴力、混乱、不安定の世界への第一歩である」とし、米国の行動は「ラテンアメリカとカリブ海諸国の政治への介入の最悪の瞬間を思い起こさせ、この地域の平和地帯としての維持を脅かすものだ」と述べています。

⑥アルゼンチン

これらの反応とは対照的に、トランプ大統領の同盟者であるアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、「自由は前進する。自由万歳」とXに投稿し、事実上米国の軍事侵攻を支持するコメントを発しました。

⑦スペイン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ウルグアイの6カ国による共同声明

4日、上記6か国が連名で米国のベネズエラへの軍事攻撃を非難する共同声明を発表しました。

1.我々は、ベネズエラ領土において一方的に行われた軍事行動に対し、深い懸念と非難を表明する。これらの行動は、国際法の基本原則、特に国連憲章に定められた武力行使及び武力による威嚇の禁止、並びに国家の主権及び領土保全の尊重に違反するものである。これらの行動は、平和と地域の安全保障にとって極めて危険な前例となり、民間人を危険にさらすものである。

2.ベネズエラ情勢は、外部からの干渉なしに、国際法に基づき、対話と交渉、そしてベネズエラ国民のあらゆる意思の尊重を通じた平和的手段のみによって解決されなければならないことを我々は改めて強調する。ベネズエラ国民主導の包摂的な政治プロセスのみが、人間の尊厳を尊重する民主的で持続可能な解決につながることを改めて確認する。

3.我々は、ラテンアメリカ・カリブ海地域が相互尊重、紛争の平和的解決、そして不介入の上に築かれた平和地帯であることを再確認するとともに、地域の安定を脅かすいかなる行動に対しても、政治的相違を超えた地域の結束を呼びかける。同様に、国連事務総長と関係する多国間機関の加盟国に対し、緊張緩和と地域平和の維持に貢献するために尽力するよう強く求める。

4.我々は、国際法に反し、地域の政治的、経済的、社会的安定を脅かす、天然資源や戦略的資源に対する政府による管理、運営、または外部からの不当な取得を企てるいかなる試みに対しても懸念を表明する。

最後に、ベネズエラ側の被害や政府の対応などについて触れておきます。

今回の攻撃による負傷者・死者についてですが、ベネズエラのウラジミール・パドリーノ・ロペス国防相が、マドゥーロ大統領を警護していたボディーガードの大半が米軍によって「殺害された」ことを報告していますが、それ以外の詳細は明らかにされていません。

これとは別にキューバ政府が、ベネズエラ側の要請に従って協力・防衛任務を遂行していた「キューバ人32名が戦闘中に命を落とした」ことを明らかにしています。

次にベネズエラ政府の動きですが、マドゥーロ大統領に代わり、大統領代行を担うことになったデルシー・ロドリゲス氏が初めての閣僚会議を行い、その後、以下の内容の「ベネズエラから世界と米国へのメッセージ」を公表しました。

ベネズエラは平和と平和的共存をその使命としていることを再確認する。我が国は、尊重と国際協力の環境下で、外部からの脅威を受けることなく生きることを望んでいる。全世界の平和は、第一に各国の平和を保障することによって築かれると信じている。

我々は、米国とベネズエラ、そしてベネズエラと地域諸国との間で、主権の平等と不干渉に基づき、バランスのとれた敬意ある国際関係を築くことを最優先事項と考えている。これらの原則は、我々が世界各国と外交を行う上での指針となってきた。

我々は米国政府に対し、国際法の枠組みの中で共通の発展を目指し、永続的なコミュニティの共存を強化するための協力計画に共同で取り組むよう呼びかける。

ドナルド・トランプ大統領:我が国民と我々の地域は、戦争ではなく平和と対話に値する。これはニコラス・マドゥーロ大統領が常に説いてきたことであり、今、すべてのベネズエラ国民が呼びかけていることでもある。これこそが私が信じるベネズエラであり、私が人生を捧げてきたベネズエラである。私の夢は、ベネズエラが、善意あるすべてのベネズエラ国民が共に集える偉大な国になることである。

ベネズエラには平和、発展、主権、そして未来への権利がある。

デルシー・ロドリゲス、ベネズエラ・ボリバル共和国大統領代理

5日、国会においてロドリゲス氏は暫定大統領に就任するための宣誓式を行いました。

2026年1月6日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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