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アルゼンチン 貧困状態の実相とは?

3月31日(火)、アルゼンチンの国家統計​局(INDEC)が公表したデータによると、アルゼンチンの貧困率が2025年下半期に低下し、2018年以来の低水準になったと報じられました。

(1)低下した貧困率と極貧率の数値

2025年下半期において、「貧困ライン」以下の世帯の割合は21.0%、人口比では28.2%となり、このうち「極貧ライン」以下の世帯は4.8%、人口比では6.3%になりました。

調査のもとになった恒久世帯調査(EPH)の対象である国内31の都市部全体で、「貧困ライン」以下の状態にあるのが214万5000世帯(847万4000人)、そのうち49万4000世帯(188万4000人)が「極貧ライン」以下の状態にあるとなっています。

※調査世帯の平均構成員は4人未満。対象人口は約3000万人、1020万世帯。アルゼンチンの総人口は約4600万人。

2024年上半期の貧困率52.9%(人口比)から28.2%へと大幅な低下となりました。極貧率についても、24年上半期の6.9%(人口比)から6.3%へと改善しています。

ハビエル・ミライ政権のルイス・カプト経済相は、「貧困率と極貧率の大幅な低下は、(2024年の)政権発足以来、経済成長、インフレ緩和のプロセス、仲介者(社会団体など)を介さない社会保障プログラムの強化によって支えられている」とXに投稿して改善状況を喜びました。

改善された背景としては、ミレイ政権が実施する緊縮財政などを通じて25年の物価上昇が抑えられたこと(25年の物価上昇率は31.5%、24年は117.8%)や、一部の社会保障支出の拡大によって、「貧困ライン」から抜け出すことができた国民が増えたことが伝えられています。また、25年の経済成長率はプラス4.4%で、3年ぶりプラス成長を記録しています(24年はマイナス1.3%)。

(2)「貧困ライン」「極貧ライン」の計測について

今回、国家統計局が報告した貧困率、極貧率を測定した方法は、基本的な商品やサービスの価格と世帯収入を比較することによって定義されています(所得ベースの貧困率と極貧率、6か月ごとに実施)。

これは、国内31の都市圏を対象とした恒久世帯調査(EPH)に基づいて行われており、次の2つの測定から判断されています。

①基礎的食料バスケット(CBA、食料のみの基礎的支出)と、②基礎的全体バスケット(CBT、基礎的食料のほか、住宅・保健・教育・衣類その他の日常的かつ基礎的支出)です。

世帯収入が①のCBAのライン以下は「極貧」、②のCBTのライン以下は「貧困」と見なされます。

①のCBAには、最低限のエネルギー必要量を満たすことを目的とした特定の栄養素(製品の種類)が含まれています。②のCBTには、①のほかに、これ以外の消費する財・サービス(衣料、交通、教育、医療など)が含まれています。

最低限のエネルギー必要量については、中程度の身体活動を行う30歳から60歳までの成人男性の消費量に基づいて算出されます。

また世帯の消費量を決定するためには、世帯の構成員が女性、子ども、高齢者のいずれであるかに応じて、基準消費量の割合を決める換算表が作成されています。

これらのデータは全国家計支出調査(ENGHo)によるもので、現在使用されているのは2005年に公表された結果に基づいています。

国家統計局は近年の消費動向をより正確に反映したデータ(2018年ENGHoに相当)を保有しているようですが、貧困率の測定には使用されていないと報じられています。

そして、全国家計支出調査の情報に基づいて基礎的な商品のバスケット(品目の組み合わせ)が選定され、その金額は消費者物価指数(CPI)に基づいて毎月更新されることになります。

ただ、この貧困率・極貧率の測定に関しては、以前から見直すべきという意見が専門家から出されています。その理由は、CBAおよびCBTの計算に使われる項目が、年月やアルゼンチン経済の現状とともに変化しており、そのため更新する必要があるからです。次にこの点を見てみたいと思います。

(3)貧困状態の実相

アルゼンチン・カトリック大学(UCA)のアルゼンチン社会債務観測所のエドゥアルド・ドンサ調査員によると、現在の計算方法では、1人当たりの肉の消費量など、時間の経過とともに減少した消費パターンが過大評価される一方で、光熱費や住宅費など、家計にとってより重要になった消費パターンが過小評価されていて、結果として約5パーセントほど改善が過大評価されていると報じられています。

つまり、実際に貧困率や極貧率は低下してはいるものの、その低下が過大評価されているということになります。

その原因は、もとになる家計の消費パターンのデータが古いまま(2005年公表のもの)で、現在に至るまでの20年近くの変化が考慮されていない(20年前と同じパターンで支出していると仮定)ことにあります。

例えば、現在における基本的なサービス(ガス、電気、水道、電話など)と医薬品への家計支出は、2005年当時よりもはるかに大きな割合を占めていると言われています。

スペインの経済学者・社会学者ら(アルフレド・セラーノ・マンシージャ氏とマリアナ・ドンド氏の2名)の説明によると、とくに貧困状態にある世帯における賃貸住宅の家賃上昇の負担が過小評価されていると指摘されています。

家賃については、国家統計局によると、過去10年間で97倍に値上がりしているようですが、こうしたことが評価には含まれていないと述べています。

2017~18年の消費パターンや家賃上昇などに基づいて「貧困ライン」を評価し直すと、アルゼンチンの実際の貧困率(世帯比)は39%(2倍近く)、人口比では48%に相当するとこの2人の専門家は見ています。この計算によると、アルゼンチン国民の半数近くが貧困層ということになります。

※数値は、恒久世帯調査(EPH)の2025年第3四半期のデータと全国家計支出調査(ENGHo)の2017~18年のデータを基に再評価したもの。

問題はそれだけではなく、この2人の専門家は、貧困層(所得が貧困ライン以下)ではないものの、所得水準が貧困層に非常に近い世帯が360万世帯存在していると指摘しています。

アルゼンチンでは、世帯の35.3%が貧困ラインの2倍以下の収入しか得ておらず、貧困層またはそれに近い層に該当する世帯が約74%を占めており、人口の8割に相当すると説明しています。

そして、このことが意味しているのは、アルゼンチンには平均所得で生活する中間層の割合が小さいこと、大多数がそれを下回る所得で生活を送っているという現実です。「大多数が貧困層またはそれに近い層で、中間層が少数派、そしてごく少数の富裕層が存在する」と述べています。

その他にも十分な所得が得られないために借金をして家計債務が劇的に増えていること、首都ブエノスアイレスではホームレス人口が増えていることも指摘しています。

政府は、自身の政策によって貧困状況が改善されたと宣伝していますが、今後も改善が続くのかどうかが重要になってきます。

インフレ率の低下については、先にふれたように年率で劇的に低下したのは事実ですが、月率で見ると、25年5月以降は連続して少しずつ上がってきています(5月は1.5%、12月は2.8%)。今年に入ってからは、米国・イスラエルによるイラン攻撃の影響でインフレが加速すると見られています。

さらに経済成長についても、業種によりばらつきがあり、農業、鉱業、金融といった分野が好調な一方、製造業や建設業など労働集約型の産業は縮小しています。失業率も25年末には7.5%に上昇しており、非正規雇用が増加しているとも報じられています。

このように、アルゼンチンでも社会の分極化が顕著であり、公式統計とは裏腹に、経済が回復してきてもその果実が労働者や多くの国民には回ってきていないのが現実だと言えます。

2026年4月19日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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キューバ 米国の圧力と経済社会の苦境

今回の記事は、『アジェンダ』92号(2026年春号)所収の拙稿「米国による「力の支配」を許さない─ベネズエラへの軍事侵攻とキューバへの圧力強化」、本サイト第99回記事「圧力を強めるトランプ政権と緊急対策の実施」(2026年2月27日付)の続きとなるものです。

(1)2月以降の主な出来事

① 2月25日 キューバ島中部ビジャ・クララ県の北側沿岸沖で、領海内に侵入した米国の高速艇(フロリダ州で登録)と巡視艇に乗ったキューバ国境警備隊(5名)の間で銃撃戦が発生。

キューバ当局(内務省)の発表によると、ビジャ・クララ県のカヨ・ファルコネス付近の沖(領海内)で、高速艇の乗組員(10名)が、約1万3000発の弾薬、ライフル銃13丁、拳銃11丁を所持してキューバへの侵入を試みたと報告されています。

また高速艇の乗組員が発砲したことから銃撃戦となり、乗組員のうち4名が死亡、残りの6名はキューバ当局に拘束されました(治療を受けるが、3月4日に1名が死亡したと報告)。キューバ側では警備隊の指揮官が負傷しました。

その後の調べによると、高速艇の侵入は「テロ目的」であったこと、乗組員10名は全員、米国在住のキューバ人であったことが報告されています。このうち2名はキューバで指名手配されていた人物であることが確認されています。米国政府は情報を確認しているとしつつ、今回の件に対する米国政府の関与については否定するコメントを出しています。

この事件に関して、キューバのディアス=カネル大統領は、米国の捜査当局と協力しており、米連邦捜査局(FBI)のチームが詳しい捜査のために近くキューバに派遣される予定であることを明らかにしています。

② 3月12日 囚人51人を釈放することを発表。

12日夜、キューバ外務省が、「キューバ国家とバチカンの間の善意と緊密で円滑な関係に基づき、(略)近日中に、懲役刑を宣告された51人を釈放することを決定した」との声明を発表しました。

釈放される受刑者の氏名や刑を受けた罪状などについての詳細は報告されていませんが、全員が「刑期の相当部分を服役」し、「刑務所内で善行を維持してきた」と述べています。釈放自体は国内の制度に則ったものであり(過去にも行われている)、「主権に基づく決定」としています。

これに対して、アムネスティ・インターナショナルは、今回の釈放対象の中に「政治的な理由で自由を奪われた人々」が含まれるかどうかなど、明確な説明がないことを批判的に指摘しています。

③ 3月13日 ディアス=カネル大統領の記者会見が行われる。

ディアス=カネル大統領は、現在のキューバが直面しているエネルギー危機(燃料・電力不足)を解決するために、米国政府と協議を始めたことを明らかにしました。同大統領は「対話を通じて、両国間の相違に対する解決策を見い出すことを目的としている」と説明しています。

協議については、ラウル・カストロ元国家評議会議長、共産党・政府の高官らとともにディアス=カネル大統領が主導したと述べています。協議の具体的な内容や米国側の代表団などについての詳細は明らかにされていません。

同じ会見の中で大統領は、キューバのエネルギー供給の解決が最優先事項だと述べました。エネルギー供給の問題は、今年の米国によるベネズエラへの軍事侵攻以前から続いてきた問題ですが、侵攻以降事態がより深刻化しています。

大統領の説明では、米国政府の禁輸措置により、過去3か月の間、石油の受け取りが一切行われていないと述べています。同国に必要な原油量のうち、40%は国産で賄っており、その燃料を使って発電を行っているが、それだけでは国内需要を賄うには不十分だとしています。

さらに電力不足に関しては、現在の発電設備が老朽化していることも影響しており、ここ数週間で深刻な停電が全国で発生していること、その影響は各家庭のみならず、基幹産業である観光業にも大きなダメージを与えているとしています(報道によると、停電は10時間以上に及ぶ場合もあります)。

④ 3月13日夜 キューバのモロン市で、抗議行動が発生。

内務省の発表によると、13日(金)から14日(土)にかけての夜間に、キューバ中部に位置するシエゴ・デ・アビラ県のモロン市において、集まった人々が市の共産党本部の事務所を破壊し、5人が逮捕されたと報じられました。

キューバでは全国的に長時間に及ぶ停電が頻発しており、こうした状況が改善されないことに対する国民の不満が強まって、たびたび抗議行動が起こっています。

先のディアス=カネル大統領の記者会見でも説明されているように、米国のベネズエラへの軍事侵攻とその後のベネズエラ産原油の輸出停止措置、さらに原油供給国であったメキシコへの関税圧力の強化によって、キューバへの原油供給が事実上断たれている中で、2月以降、キューバ政府は緊急措置を余儀なくされています(燃料の配給制や計画停電など)。

その結果、市民生活に大きな悪影響が出ています。その影響は停電だけでなく、病院の救急医療サービスの制限や公共交通機関の一部停止、さらにはゴミ収集もままならない事態になるなど、多岐に及んでいます。

今回事件が発生したモロン市のあるシエゴ・デ・アビラ県の新聞である「インバソール」紙によると、この日(3月13日)のデモについて、「当初は平和的に始まったものが、地元当局とのやり取りを経て、市党委員会の本部に対する破壊行為へと発展した」、「少数のグループが建物の入り口に石を投げつけ、受付エリアの家具を使って路上に火をつけた」と報じています。

その他にも、薬局や商業施設が投石などの被害を受けたことなどが報じられています(但し具体的にどのような被害があったか詳細が報じられていないことへの批判的意見や、単に経済的な不満の表明だけでなく、政府を批判する政治的な意見の表明ともあったとの声も出ています)。また当時の様子についてはSNSを通じて画像や動画として拡散されました。

今回の事態に対して、ディアス=カネル大統領は、SNSを通じて「不満は理解できる」、「苦情や要求は正当なものだ」と認めたものの、同時に「(要求の申し立ては)公共の秩序を尊重して行うこと」、「安全を脅かす暴力行為や破壊行為は(略)容認できない」と批判しました。

今回の事態以外にも、夜間に人々が集まって路上や自宅で鍋やフライパンを叩いて抗議する行動が発生しています。ハバナ大学でも学生たちが学業にも影響が出ていることに抗議して座り込むなどの行動が起こっています。

⑤ 3月16日 全国で停電が発生。

キューバ電力公社(UNE)は、16日、「全国電力システムが完全停止に見舞われた」と発表しました。完全停電は過去1年半で6回目を数え、米国による原油輸入が阻止されてからの完全停電は初めてと報道されています。

この時点では完全停電の原因や、復旧期間などの詳細については言及がありませんでした。監督官庁であるエネルギー・鉱山省は、「復旧手順が発動された」と述べるにとどめており、いくつかの火力発電所に問題があった可能性については認めていませんでした。

国営テレビの報道によると、停電が発生したのは現地時間の午後1時40分とのことでした。その後の報告として電力公社は「送電停止まで稼働していた火力発電所の損傷は報告されていない」と伝えています。

キューバは慢性的な電力不足と頻繁な停電に悩まされ続けています。3月4日にも全国の3分の2に及ぶ大規模停電が発生しています。電力不足については、設備のトラブルによる停電のほかに、米国政府の原油の禁輸措置によって、2月から「計画停電」という緊急措置を取らざるを得なくなっています。

現在、キューバは発電用エンジンに必要なディーゼル燃料や重油をほとんど入手できない状況にあると報道されています。そのため、分散型発電設備(ディーゼルエンジンや重油エンジンを使用)については1月から停止状態にあることが報告されています。

電力供給の問題については、発電設備を動かすための燃料の不足だけでなく、発電設備のほとんどが数十年前のもの(旧ソ連製)であり、設備老朽化や部品の不足、さらには技術者も不足していることでメンテナンスが十分に行われていないという構造的問題を抱えています。そのため頻繁に稼働停止が起こっているのが現状です。

キューバにある16基の火力発電所のうち、9基が故障またはメンテナンス作業のためにこの日(13日)には稼働しておらず、トラブルが発生しなくても、当初の予想では電力需要のピーク時で62%が供給されないと見られていました。

今回の全面停止については、「全国電力系統の完全遮断」によるものと電力公社が述べているように、燃料不足によるというよりも(燃料としては主に国産の石油が使用されているため)、基本的には老朽化した設備に対する投資不足の結果と見られています。

このため、キューバのエネルギー問題は、この部門への新規投資の不足と米国による経済封鎖という複合的な要因によるものであると専門家は見ています。

(2) 米国・トランプ大統領の反応

トランプ大統領は、ベネズエラへの軍事侵攻以降、事あるごとにキューバの「体制転換」を促す発言を繰り返してきました。その中でキューバ側と対話を行っているとも述べてきました。キューバ政府は当初これを否定していましたが、13日の記者会見でキューバのディアス=カネル大統領が米国と協議を始めたことを認めました。

それから数日後の16日、トランプ大統領は、記者の質問に応える形で、「私はキューバを掌握する栄誉を得ることになるだろう」と述べました。さらに、「解放するにせよ、奪うにせよ、はっきり言って、どうにでもできると私は思っている。今や、非常に弱体化した国家だ」とまで述べています。

自らが行っている行為(経済封鎖)を棚に上げて、このような相手を見下した、植民地主義的な発言は到底許されるものではないと思います。

今年に入って以降、ベネズエラ・キューバに対する圧力を強めるだけでなく、イスラエルとともにイランへの軍事行動を繰り広げるなど、トランプ大統領の言動は、世界の平和を掘り崩すものでしかなく、その無法ぶりは目に余るものがあります。一刻も早くこの圧力をやめさせる必要があります。

2026年3月22日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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キューバ 圧力を強めるトランプ政権と緊急対策の実施

2月6日(金)、キューバ政府は、必要不可欠なサービスの継続を保証するための全般的な緊急措置(エネルギー、交通、教育、医療、労働など)を講じると発表しました。これは、米国のトランプ政権が今年に入ってからさらに強めている圧力に対処するものです。

(1)トランプ政権による圧力強化

トランプ大統領による圧力の強化は、まず1月3日に実行されたベネズエラへの軍事侵攻とそれによるキューバへの原油供給の停止でした。トランプ大統領は1月11日に「キューバには石油も資金も一切供給しない。ゼロだ」「キューバには手遅れになる前に取引を強く勧める」と自身のSNSに投稿しました。

さらに1月29日には、キューバに石油を供給する国からの輸入品に追加関税を課すための大統領令に署名しました。この時、米国政府は、キューバが米国の国家安全保障と外交政策にとって「異例かつ並外れた」脅威であると一方的に決めつけています。

この措置により、ベネズエラとともに原油供給を行っていたメキシコがキューバ向けの原油供給を停止したことを明らかにしました(2月3日)。メキシコ政府は代わりに食料などの生活物資の援助を行うとしました。

その後、12日にメキシコ海軍の船2隻が、食料や個人衛生用品など約800トンの物資を積んでハバナに到着しました。数日中にさらに1500トンの粉ミルクと豆類を送る予定となっています。

こうした圧力強化に対して、キューバのディアス=カネル大統領が、2月5日、現在の困難な状況と今後に関しての質問に答える記者会見を行いました(全国で生中継)。

その中で、トランプ大統領の措置をキューバに対する「最大限の圧力」政策であると指摘、米国政府の言う「キューバ崩壊論」を批判しつつも、「米国と対話する用意がある」と述べました。また「深刻な燃料不足に対処する」計画を政府が準備していることも明らかにしました。

トランプ政権によるキューバへの圧力強化に対する国外からの批判についてですが、例えば、チリのボリッチ大統領が次のようなコメントを発表しています。

「米国がキューバに対して課し、ここ数週間で強化してきた封鎖は犯罪であり、国民全体の人権に対する侵害である。キューバとの間に意見の相違があることは承知の上だが、罪のない子どもたちや市民に危害を加えることを正当化するものは何もない」(2月12日、自らのXに投稿)。

チリ政府は、ユニセフを通じてキューバに100万ドルの人道支援を行うと発表しました(2月13日)。但しボリッチ大統領自身は、トランプ政権の圧力(米国による長年の経済封鎖)に対してだけ批判したのではなく、キューバの体制についても「独裁政治」(「一党制であり、表現の自由がない」)であるとして批判的な考えを明らかにしています。

(2)キューバ政府の緊急措置

キューバのディアス=カネル大統領が会見を行った翌日(2月6日)に、政府から全般的な緊急措置が講じられることについての発表がありました(措置の実施は翌週から)。

この措置については、6日に行われた閣僚評議会で承認されたのち、テレビなどの各種メディアを通じて内容が説明されました。その中で、ペレス=オリバ・フラガ第一副首相兼外国貿易・外国投資大臣は、今回の措置の目的は「国民のための基本的サービスを守り、確保すること」にあると強調しました。

実施される具体的な措置としては、燃料販売の制限(配給制)、県間の長距離バスと鉄道の運行削減、ホテルの一部閉鎖、公共部門(公共機関や国営企業)の週4日勤務(月曜日から木曜日)への短縮、テレワークの実施などが含まれています。

空の分野では、当面2月10日から3月11日までの間、ホセ・マルティ空港(ハバナ)を含むキューバ国内9つの国際空港すべてにおいて商業便への燃料供給が一時停止されるとしています。運行する場合は往復分の燃料をあらかじめ積んでおくか、別の場所で給油する必要があります。

キューバへの観光客の主な2つの供給先であるカナダとロシアの航空会社は、それまでにキューバに足止めされている自国民を出国させた後は、ハバナ行きのフライトを一時的に停止する措置をとることを決めました。

また、キューバにおけるスペインのホテルチェーンであるメリア社は、キューバにあるホテル30軒のうち3軒を閉鎖し、設備が充実して稼働率の高いホテルに観光客を集中させることを発表しました。

これらにより、今後の観光客の激減が予想されており、国の主な外貨収入源である観光業にとって大きな痛手となります。

エネルギーの分野では、太陽光など再生可能エネルギーへの投資を継続し、エネルギーの生産量を増やすとしています。

教育分野では、授業時間の短縮、大学ではハイブリッド学習(オンラインと対面の併用)が実施されます。

医療分野では、病院は原則として緊急手術のみの対応となり、職員の削減、医療機関に近い住民への対応を優先する(移動と燃料節約のため)など、大きな影響が出ています。

19日(木)には、ミランダ保健相が、手術を延期せざるを得なくなっている状況について報告しています。キューバ保健省は、緊急および急患の治療の場合の救急車搬送が限られていると報じています。

ペレス=オリバ・フラガ副首相は説明の中で、「既存の燃料供給は、国民のための必要不可欠なサービスの保護と、不可欠な経済活動に充てられている」と述べています。

キューバ革命以降、60年以上にわたり米国政府による経済封鎖下にあるキューバは、1991年のソ連崩壊時以来の深刻な経済危機に陥っていると言われています。海外の報道を見ると、深刻な燃料不足とエネルギー危機の中で家庭では炭と薪を使って調理している状況にあることなどが報じられています。

「我々は困難な時代を生き抜くことになるとわかっている」と、ディアス=カネル大統領は、2月5日に行われた記者会見の中で述べました。

(3)その後の動き

2月20日、米国の連邦最高裁判所が、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて大統領が関税を課すことはできないとの判決を下しました。この違憲判決を受けてトランプ大統領は、IEEPAに基づいた関税の徴収を終了する大統領令に署名しました(2月24日より停止)。

これにより、キューバに石油を供給する国からの輸入品に追加関税を課すとした1月29日の大統領令は事実上無効となりました。

しかしトランプ政権が、キューバを「異例かつ並外れた」脅威であると一方的に決めつけた「国家非常事態」宣言は撤回されていないため、新たな措置の可能性が残っているとの報道もあります。

さらに2月25日、米国財務省は、ベネズエラ産原油と派生品のキューバへの販売について一定の条件付きながらこれを認める決定を行いました。今回の措置は、キューバ政府に関係しない、同島での商業的および人道的使用のための輸出を含む「キューバ国民を支援する」取引を許可するものとしています。

キューバに販売するにはライセンスの申請と承認が必要です(認められれば、制裁の対象外となる)。その条件として、売却代金を米国政府が管理する口座に入金するなど、販売・取引に課せられたいくつかの制限を遵守する必要があります。申請する企業は米国以外の企業も可能としています。

一部緩和されたとは言え、あくまでも米国主導の措置であり、それに従わなければならないことには変わりがありません。今まで以上に国際社会が強く働きかけ、トランプ政権の圧力強化を一刻も早くやめさせる必要があります。今後とも事態を注視していきたいと思います。

2026年2月27日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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ベネズエラ 米国の軍事侵略に対する中南米地域の反応

前回の記事で載せられなかった中南米地域の反応についてまとめておきます。

①コロンビア

「コロンビア共和国政府は、ベネズエラ・ボリバル共和国でここ数時間の間に記録された爆発と異常な航空活動の報告、およびそれに伴う同地域の緊張の高まりを深い懸念をもって注視している」とコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は、攻撃があった直後にSNSに投稿しました。

さらに以下のようにコメントしました。

「コロンビアは地域の平和維持を志向する立場をとっており、緊張緩和を緊急に呼びかけるとともに、関係各国に対し、対立を深める行動を控え、対話と外交ルートを優先するよう求める。」

「コロンビア政府は、状況を悪化させたり、民間人を危険にさらす恐れのある、いかなる一方的な軍事行動も拒否する。」

「コロンビア共和国は、いかなる形態の武力衝突よりも、平和、国際法の尊重、生命と人間の尊厳の保護が優先されなければならないという信念を改めて表明する。」

②キューバ

キューバのミゲル・ディアス=カネル大統領は、「キューバは、これらの行為を国家テロ行為、平和地帯である『我らのアメリカ』に対する犯罪的攻撃、独立・尊厳・団結の象徴である国家の主権侵害、そして国際法に対する容認できない攻撃であると宣告し、非難する」と述べました。

またキューバ政府は声明の中で以下のように主張しました。

「これは、モンロー主義に根ざした『我らのアメリカ』に対する米国の覇権主義的野望を復活させ、ベネズエラとその地域の天然資源への無制限のアクセスと支配権を獲得することを目的とした、支配を目的とした露骨な帝国主義的かつファシスト的な侵略行為である。また、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の政府を脅迫し、従属させることも狙っている。」

「キューバ革命政府は、世界のすべての政府、議会、社会運動、国民に対し、ベネズエラに対する米国の軍事侵略を非難し、国際平和と安全を脅かし、世界、特にラテンアメリカとカリブ海地域において米国帝国主義による新たな支配原理を押し付けようとするこの国家テロ行為に立ち向かうことを呼びかける。」

③チリ

チリのガブリエル・ボリッチ大統領は、「ベネズエラの危機は暴力や外国の干渉ではなく、対話と多国間主義の支援を通じて解決されなければならない」こと、「チリは武力行使の禁止、不介入、国際紛争の平和的解決、国家の領土保全といった国際法の基本原則の遵守を再確認する」と訴えました。

④メキシコ

メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領は、国連憲章第2条を引用し、「この組織の加盟国は、国際関係において、いかなる国の領土保全や政治的独立に対する武力による威嚇や武力の行使も、また、国際連合の目的と矛盾するいかなる他の方法による武力の行使も慎まなければならない」と述べました。

⑤ブラジル

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、「ベネズエラ領内での爆撃と大統領の拘束は容認できない一線を越えている」とし、「これらの行為はベネズエラの主権に対する非常に重大な侮辱であり、国際社会全体にとってもう一つの極めて危険な前例となる」と発言しました。

また「国際法に著しく違反して諸国を攻撃することは、暴力、混乱、不安定の世界への第一歩である」とし、米国の行動は「ラテンアメリカとカリブ海諸国の政治への介入の最悪の瞬間を思い起こさせ、この地域の平和地帯としての維持を脅かすものだ」と述べています。

⑥アルゼンチン

これらの反応とは対照的に、トランプ大統領の同盟者であるアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、「自由は前進する。自由万歳」とXに投稿し、事実上米国の軍事侵攻を支持するコメントを発しました。

⑦スペイン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ウルグアイの6カ国による共同声明

4日、上記6か国が連名で米国のベネズエラへの軍事攻撃を非難する共同声明を発表しました。

1.我々は、ベネズエラ領土において一方的に行われた軍事行動に対し、深い懸念と非難を表明する。これらの行動は、国際法の基本原則、特に国連憲章に定められた武力行使及び武力による威嚇の禁止、並びに国家の主権及び領土保全の尊重に違反するものである。これらの行動は、平和と地域の安全保障にとって極めて危険な前例となり、民間人を危険にさらすものである。

2.ベネズエラ情勢は、外部からの干渉なしに、国際法に基づき、対話と交渉、そしてベネズエラ国民のあらゆる意思の尊重を通じた平和的手段のみによって解決されなければならないことを我々は改めて強調する。ベネズエラ国民主導の包摂的な政治プロセスのみが、人間の尊厳を尊重する民主的で持続可能な解決につながることを改めて確認する。

3.我々は、ラテンアメリカ・カリブ海地域が相互尊重、紛争の平和的解決、そして不介入の上に築かれた平和地帯であることを再確認するとともに、地域の安定を脅かすいかなる行動に対しても、政治的相違を超えた地域の結束を呼びかける。同様に、国連事務総長と関係する多国間機関の加盟国に対し、緊張緩和と地域平和の維持に貢献するために尽力するよう強く求める。

4.我々は、国際法に反し、地域の政治的、経済的、社会的安定を脅かす、天然資源や戦略的資源に対する政府による管理、運営、または外部からの不当な取得を企てるいかなる試みに対しても懸念を表明する。

最後に、ベネズエラ側の被害や政府の対応などについて触れておきます。

今回の攻撃による負傷者・死者についてですが、ベネズエラのウラジミール・パドリーノ・ロペス国防相が、マドゥーロ大統領を警護していたボディーガードの大半が米軍によって「殺害された」ことを報告していますが、それ以外の詳細は明らかにされていません。

これとは別にキューバ政府が、ベネズエラ側の要請に従って協力・防衛任務を遂行していた「キューバ人32名が戦闘中に命を落とした」ことを明らかにしています。

次にベネズエラ政府の動きですが、マドゥーロ大統領に代わり、大統領代行を担うことになったデルシー・ロドリゲス氏が初めての閣僚会議を行い、その後、以下の内容の「ベネズエラから世界と米国へのメッセージ」を公表しました。

ベネズエラは平和と平和的共存をその使命としていることを再確認する。我が国は、尊重と国際協力の環境下で、外部からの脅威を受けることなく生きることを望んでいる。全世界の平和は、第一に各国の平和を保障することによって築かれると信じている。

我々は、米国とベネズエラ、そしてベネズエラと地域諸国との間で、主権の平等と不干渉に基づき、バランスのとれた敬意ある国際関係を築くことを最優先事項と考えている。これらの原則は、我々が世界各国と外交を行う上での指針となってきた。

我々は米国政府に対し、国際法の枠組みの中で共通の発展を目指し、永続的なコミュニティの共存を強化するための協力計画に共同で取り組むよう呼びかける。

ドナルド・トランプ大統領:我が国民と我々の地域は、戦争ではなく平和と対話に値する。これはニコラス・マドゥーロ大統領が常に説いてきたことであり、今、すべてのベネズエラ国民が呼びかけていることでもある。これこそが私が信じるベネズエラであり、私が人生を捧げてきたベネズエラである。私の夢は、ベネズエラが、善意あるすべてのベネズエラ国民が共に集える偉大な国になることである。

ベネズエラには平和、発展、主権、そして未来への権利がある。

デルシー・ロドリゲス、ベネズエラ・ボリバル共和国大統領代理

5日、国会においてロドリゲス氏は暫定大統領に就任するための宣誓式を行いました。

2026年1月6日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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ベネズエラ 米国の軍事侵略と民主主義の危機

1月2日夜から1月3日早朝にかけて、ベネズエラに対する米軍の軍事侵攻「断固たる決意作戦(Operation Absolute Resolve)」が実行されました。その過程でニコラス・マドゥーロ大統領とシリア・フローレス夫人が身柄を拘束(逮捕)され、訴追されるためニューヨークに移送されました。

中南米の多くの国が今回の米国の行動をベネズエラの主権侵害、侵略行為として非難する声明を出しています。また米国内を含めた世界各地でも米国による軍事侵攻と主権侵害に抗議する行動が起こっています。

1月2日深夜から3日早朝の軍事作戦の概要とその後の事態について、現時点(1月4日午後)までに報道されていることを中心にまとめてみます。

(1)1月2日深夜から始まったベネズエラへの軍事侵攻

ベネズエラ当局によると、米軍による攻撃は首都カラカスと近隣のアラグア州、ミランダ州、ラ・グアイラ州で行われました。攻撃を受けた対象には、ラ・カルロタ空軍基地(カラカス)、ラ・グアイラ港、フェルテ・ティウナ(軍事施設)、エル・ボルカン・アンテナ施設、イグエロテ空港などが含まれていたことが確認されています。攻撃に伴い、カラカスのいくつかの地域では停電が発生している旨が報告されています。今回の作戦は数か月前から準備されていたことが確認されています。

米統合参謀本部のダン・ケイン議長の説明によると、作戦はベネズエラの防空システムに対する攻撃から始まり、航空機約150機が参加したとのことです。マドゥーロ大統領の逮捕には陸軍のデルタフォースと第160特殊作戦航空連隊(通称「ナイトストーカーズ」)が参加、現地時間の午前2時頃に大統領のいる施設に侵入し、作戦全体は約2時間20分を要したとのことです。

トランプ大統領は、この任務で米軍関係者の死者は出ていないと主張しましたが、一部負傷兵が出たとの報道もあり、現時点では米軍側の負傷あるいは死者の数は不明です。一方ベネズエラ側では、民間人を含めて少なくとも40人が死亡したとニューヨーク・タイムズが伝えています。

拘束されたマドゥーロ大統領夫妻は、ヘリコプターでカリブ海に展開する米軍の強襲揚陸艦「イオー・ジマ」に移送されました(その後、船内で撮影されたとされるマドゥーロ大統領の写真が公表)。身柄はニューヨークに移送され、マンハッタンの連邦裁判所で起訴されました。米国のパム・ボンディ司法長官は、容疑は「麻薬テロの陰謀とコカイン密輸の陰謀」などと説明しています(シリア・フローレス夫人もコカインの密輸共謀などで起訴)。

トランプ大統領は、3日に記者会見を開いて、今回の軍事作戦についての説明を行いました。その中で、そのような事態は起こりそうにないとしながらも、必要と判断すればベネズエラに対してさらに大規模な第2次攻撃を仕掛ける用意がある考えを明らかにしています。

その一方で今後のベネズエラについては「安全かつ適切で賢明な政権移行」が行われるまで米国がベネズエラを「統治する」と述べましたが、その具体的な期限や移行のやり方については説明していません。

また、昨年ノーベル平和賞を受賞したマリア・コリーナ・マチャド氏に対しては、「国内で支持も尊敬も得ていない」として、「リーダーになるのは非常に難しいだろう」と否定的な見解を示しています。

さらにベネズエラの原油資源については、米国企業が運営を引き継ぐことを望んでいる旨を公言しました。ベネズエラのエネルギー産業のインフラ再建に米国企業が資金を出すことで、石油生産の収益性が回復するようになると述べています。

「我々は国を適切に統治するつもりだ。優れた判断力と公正なやり方で統治されるだろう。そして、多くの利益も得られるだろう」とトランプ大統領は、米国資本による植民地主義的な野心を明らかにしています。

今回の行動については、1989年12月に中米パナマで行われた軍事侵攻との類似が指摘されています。このときパナマの軍事独裁体制の統治者であったマヌエル・ノリエガ将軍が、米国への麻薬密輸容疑で米海軍特殊部隊「SEALS(シールズ)」によって身柄を拘束され(本人が投降)、米国内で裁判にかけられました。身柄が拘束された日付が今回と同じ1月3日でした。ノリエガ氏は米国内で40年の懲役を言い渡されましたが、その後減刑され、米国で17年服役しました(2017年死亡)。

(2)ベネズエラ政府の対応

今回の軍事侵攻が始まった際、マドゥーロ大統領は、ベネズエラ全土に非常事態を宣言する文書に署名し、すべてのベネズエラ国民に対し、結集し、米国による攻撃に対抗するよう呼びかけました。また拘束される前の最新のインタビューの中で、マドゥーロ大統領は米国がベネズエラの石油と鉱物資源のすべてを欲していると述べていました。

当初デルシー・ロドリゲス副大統領が「マドゥーロ大統領と大統領夫人の生存証明」を求めました。国営テレビを通じて「我々は国際法の尊重を要求し、我が国民に対するこのような残虐な侵略行為を非難する」とのメッセージを出しました。

にもかかわらず、トランプ大統領は先の記者会見の中で、マルコ・ルビオ国務長官がベネズエラのロドリゲス副大統領と会談して、ベネズエラの再建に必要なことを行う用意があることについて確約したと発言しました。

こうしたトランプ大統領の発言があったのちも、ロドリゲス副大統領は、ベネズエラ人は「諦めず、屈服せず、古代の帝国であろうと、新しい帝国であろうと、衰退している帝国であろうと、誰の植民地にもならない国民である」と主張し、あくまでも抵抗する意思を示しました。

ベネズエラの最高裁判所は、3日夜、マドゥーロ大統領不在の間、ロドリゲス副大統領が大統領代行を務めるべきとの判断を下しています。

最後に、1月3日付で公表されたベネズエラ政府の声明の抜粋をあげておきます。

ベネズエラ政府の声明(2026年1月3日)

「ベネズエラ・ボリバル共和国は、現在のアメリカ合衆国政府が、共和国の首都カラカス、およびミランダ州、アラグア州、ラ・グアイラ州の民間および軍事施設において、ベネズエラの領土と国民に対して行った極めて重大な軍事攻撃を、国際社会に対して拒否し、非難し、告発する。この行為は、主権の尊重、国家の法的平等、武力行使の禁止を規定した国連憲章、特にその第1条および第2条に対する明らかな違反である。このような侵略は、国際的な平和と安定、特にラテンアメリカおよびカリブ海地域の平和と安全を脅かし、何百万人もの人々の生命を深刻な危機にさらしている。」

「この攻撃の目的は、ベネズエラの戦略的資源、特に石油や鉱物を奪い、武力によって国家の政治的独立を破壊することにある。しかし、彼らは成功しないだろう。(中略)ファシスト的な寡頭政治と結託して、共和制政府を破壊し、政権交代を強制しようとする植民地戦争の試みは、これまでのすべての試みと同様に失敗に終わるだろう。」

「ボリバル政府は、国内のあらゆる社会的・政治的勢力に対し、動員計画を発動し、この帝国主義的攻撃を非難するよう呼びかける。」

「我々は、ラテンアメリカ、カリブ海地域、そして世界中の国民と政府に対し、この帝国主義的侵略に対抗して積極的な連帯行動を起こすよう呼びかける。」

今回の米軍による一方的な軍事侵攻とベネズエラに対する主権侵害行為は到底許されるものではなく、これを強く非難します。事態がどのように推移するかも含めて今後とも状況を注視していきたいと思います。今回の行動に対する各国政府(主に中南米地域)の対応については、回を改めてまとめてみます。

2026年1月4日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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