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はじめに

 「ラテンアメリカの現在」は、ラテンアメリカ・カリブ海地域での民衆の社会運動を軸に、その背景となる政治・経済的なニュースをピックアップして紹介するページです。

 2000年代以降、この地域では、新自由主義的グローバリゼーションに抗する社会運動の活発化と連動した「左派・進歩派政権」が台頭してきました。しかし2010年代になって次第に、左派政権の政策面での行き詰まりや右派勢力の巻き返しなどが起こり、ラテンアメリカ社会自身がいろいろな意味で分岐してきています。
 とりわけ、米国ではトランプ政権による介入主義的な対応が強まり、各国内でも権威主義的な政治の傾向が顕著になっています。

 こうした情勢の複雑な変化を踏まえつつ、ラテンアメリカ社会が現在から未来にわたってどう変化していこうとしているのかをできるだけ事実を踏まえ、読み解きながら考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【記事一覧】
ボリビアの総選挙について(2)最終結果の公表(2020年10月25日)
ボリビアの総選挙について、左派勢力の勝利へ(2020年10月23日)
キューバの二重通貨問題について(2020年10月15日)
キューバの労働事情(賃金編)(2020年9月29日)
キューバの労働事情(就労編)(2020年9月27日)
コロナ禍のキューバ社会(2020年9月16日)
コロナ禍、債務問題に苦しむアルゼンチン(2020年8月31日)
コロナ禍のラテンアメリカ・カリブ地域(2020年8月18日)
〈危機〉の中のベネズエラ(2020年8月4日)
ベネズエラ、増加する感染者と経済状況(2020年7月27日)
スペインの最低生活所得とベーシックインカム(2020年7月21日)
メキシコ、感染症対策と「新しい日常」、サパティスタの声明(2020年7月6日)
キューバ、感染症対策と経済活動の再開(2020年6月26日)
ペルー、感染拡大から見える社会の矛盾(2020年6月19日)
ブラジルの緊急援助とベーシックインカム(2020年6月12日)
感染拡大が続くブラジル(2020年6月4日)
「コロナ禍」のラテンアメリカ(2020年5月28日)
キューバ、感染症と国際連帯(2020年5月18日)
ボリビアの行方とパンデミック(2020年5月11日)
キューバ、憲法改正から1年(2020年5月4日)
抗議するチリ、そしてパンデミック(2020年4月27日)

(雑誌『アジェンダ』でも「ラテンアメリカの現在―分岐する世界の中で―」というタイトルの連載記事を書いています。)

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ボリビアの総選挙について、左派勢力の勝利へ

 10月18日(日)、ボリビアで総選挙(正副大統領、上下院議会)が実施されました。この選挙は、ちょうど一年前の昨年10月に行われた大統領選挙の結果をめぐって起こった「政変」によって成立した「暫定体制」の下で行われた選挙です(当初は5月3日に行われる予定でしたが、新型コロナの影響もあり延期されていました)。ちなみに最高選挙裁判所(TSE、中央選管)による最終的な結果報告はまだですが、開票率96%までの暫定的な結果が公表されています。

 すでに日本でも報道されていますが、エボ・モラレス前大統領の後継である社会主義運動(Movimiento Al Socialisomo  略称MAS)のルイス・アルセ大統領候補とダビッド・チョケワンカ副大統領候補の勝利が伝えられています。

 なお、昨年の大統領選とその後の情勢については、以前の配信記事「ボリビアの行方とパンデミック」(2020年5月11日)をお読みください。今回の記事は現時点でわかっている範囲内のことをまとめています。

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キューバの二重通貨問題について

はじめに

 前2回にわたってキューバの労働事情(就労編と賃金編)について述べてきましたが、今回は「二重通貨・為替問題」について述べてみたいと思います。

 日本に住んでいる私たちにとってはなかなか理解しがたいところがありますが、キューバでは2つの通貨、為替レートが日常的に使われています。とくに一般の人々に適用される為替レートと企業に適用される為替レートが異なっていることによって、価格をベースにした様々な経済指標がその実勢を正しく反映していないという問題が生じています。

 自らが提供する労働を通じて貨幣収入を得ている人々にとって、名目賃金の実質的な価値が正当に評価されているのかが不確かであるという事態は、それだけにとどまらず、稼いでいる賃金だけでは十分な生活を送ることができないという問題の一端ともなっています。

 そのため、キューバ政府は、できるだけ速やかに通貨と為替レートの一本化を実現することを考えてきましたが、現在に至るまでその実施に踏み切ってはいません。というのも、この措置が、国内経済や人々の生活に多大な影響を与えると言われてきたからです。一体、どのような影響があるのか、その背景を考えてみます。

 ちなみに、キューバに旅行する場合、外国の観光客はキューバ国内で使用する通貨として兌換ペソ(CUC)を両替して入手する必要があります(その際、手数料も差し引かれます)。通常はキューバ市民が使っている国内ペソ(CUP)に出会う機会はありません。

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キューバの労働事情(賃金編)

はじめに

 前回は「キューバの労働事情(就労編)」でしたが、今回はその続き「賃金編」です。ここでも国家情報統計局の統計と国営メディア「クーバデバテ(Cubadebate)」(「キューバ討論」という意味)の記事を見ながら進めていきたいと思います。

1.キューバの平均賃金について

 昨年(2019年)、キューバの平均賃金(月額)は102ペソ増加して、879ペソとなりました。このアップは最近5年間で最も大きな上昇となっています。

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キューバの労働事情(就労編)

はじめに

 前回の記事(コロナ禍のキューバ社会、2020年9月16日)において、モノ不足の中、買占めと転売が横行していること、その背景には不十分な所得や二重通貨制度といった問題があることを書きました。

 そこで今回から3回に分けて、キューバの労働者をめぐる状況(就労と賃金)、二重通貨問題について取り上げてみたいと思います。今回は「キューバの労働事情(就労編)」です。