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はじめに

 「ラテンアメリカの現在」は、ラテンアメリカ・カリブ海地域での民衆の社会運動を軸に、その背景となる政治・経済的なニュースをピックアップして紹介するページです。

 2000年代以降、この地域では、新自由主義的グローバリゼーションに抗する社会運動の活発化と連動した「左派・進歩派政権」が台頭してきました。しかし2010年代になって次第に、左派政権の政策面での行き詰まりや右派勢力の巻き返しなどが起こり、ラテンアメリカ社会自身がいろいろな意味で分岐してきています。
 とりわけ、米国ではトランプ政権による介入主義的な対応が強まり、各国内でも権威主義的な政治の傾向が顕著になっています。

 こうした情勢の複雑な変化を踏まえつつ、ラテンアメリカ社会が現在から未来にわたってどう変化していこうとしているのかをできるだけ事実を踏まえ、読み解きながら考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(雑誌『アジェンダ』でも「ラテンアメリカの現在―分岐する世界の中で―」というタイトルの連載記事を書いています。)

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〈危機〉の中のベネズエラ

 ここにあげた以下の文章は、「アジェンダ」66号(2019年秋号 2019年9月15日発行)に「ラテンアメリカの現在」の第1回として掲載したものです。

 前回の配信(7月27日投稿)ではベネズエラの新型コロナウイルスの感染状況と経済状況について簡単に書きましたが、感染が広がる以前の状況について少し触れておきたいと思いましたので、約1年前の文章ではありますが、ここに掲載することにしました(一部変更あり)。ですので、言及しているデータや人物の肩書などは掲載当時のままとなりますので、よろしくお願いいたします。

(1)高インフレに苦しむベネズエラ経済

 ベネズエラでは、深刻な〈危機〉が続いています。本稿では経済面と政治面に分けて現状(2019年時点)を見ていきたいと思います。まずはベネズエラの経済状況についてです。

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ベネズエラ、増加する感染者と経済状況

 今回は、ベネズエラの新型コロナウイルスの感染状況と政府による感染症対策、厳しさを増す経済状況について概観してみます。

(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況

ベネズエラ政府の発表(7月26日まで)より。
累積感染者数:1万5463人
死者数:142人
致死率:0.9%
現在感染者数:5575人
 そのうち、4455人が無症状者、1029人が軽度の急性呼吸不全、65人が中程度の急性呼吸不全、26人が重度の急性呼吸不全(集中治療室に入院)
 また、4269人が公立病院、1170人が総合診断センター(プライマリケアを担う公的施設)、136人が民間クリニックで治療を受けています。
回復者数:9746人(累積感染者数の63%)

累計検査数:148万1427件(7月24日まで)
 政府は、PCR検査と簡易(迅速)検査を行っていますが、内訳については定期的に報告されていません。4月19日の時点で、PCR検査が5969、簡易(迅速)検査が33万200、合計33万6169という報告はあります。
 また、5月21日までの時点で、政府の報告をもとに汎米保健機関が推計した数値があります。それによると、合計69万7691(うち、97.7%が簡易(迅速)検査)で、PCR検査が1万6577(推計値)となっています。
※ベネズエラの人口:3222万人(2019年予測値) 国家統計院(INE)より。

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スペインの最低生活所得とベーシックインカム

 今回はラテンアメリカから離れてスペインの最低生活所得について取り上げたいと思います。ですので「番外編」という形になりますが、以前(7回目配信記事)でブラジルの緊急援助(社会的脆弱層への現金給付)について紹介しましたので、それとのつながりでこのテーマを取り上げることにしました。

(1)スペインの最低生活所得とは

 最低生活所得(Ingreso Minimo Vital, IMV)に関する法律は、5月29日に政令として閣議で承認されました。政令というのは、スペイン憲法第86条の規定によると、緊急時に政府が法律と同等の法的拘束力を持つものとして制定できるとしているものです。条文では30日以内に国会で検討されることになっています。

 政令自体は6月1日に官報に掲載されましたが、国会では審議ののち、6月10日に承認されました(賛成297、反対0、棄権59)。

 財政負担によって将来世代や年金受給者の未来を危うくするとして、IMVに最も批判的であった極右派のVOX(ボックス)も、「わが同胞が必要としている」として最終的には棄権に回りました。

 そもそも、最低生活所得という政策は、社会保障政策の一環として、2019年12月にスペイン社会労働党とポデモス連合が連立政権を作るために締結した政策プログラムの中に含まれていたものです。それが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって導入が早められたことになります。

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メキシコ、感染症対策と「新しい日常」、サパティスタの声明

(1)メキシコ政府の新型コロナウイルス感染症対策

 メキシコでは新型コロナウイルスの感染者、死者ともに増加傾向が続いています。死者数はラテンアメリカの中ではブラジルに次いで多くなっています。

メキシコの感染状況についての主なデータについて(保健省のデータ。7月5日まで)。
累積感染者数:25万6848人
現在の陽性者数:2万6295人
死者数:3万639人
致死率:11.9%
(メキシコの人口:1億2530万人 2018年 国家人口評議会より)
 致死率の高さが際立っています。その原因の1つと指摘されている医療従事者の不足については後で取り上げたいと思います。

 国内で感染例が初めて公式に確認されたのは、2月27日です。保健省のウゴ・ロペス・ガテル予防健康促進担当次官が2月28日の会見で、前日に2件の感染例が確認されたと発表しました。陽性反応が確認された2名とも、イタリアへの渡航歴があり、旅行中での2人の接触歴が確認されています(2名の居住地域は異なります)。

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キューバ、感染症対策と経済活動の再開

 今回の記事は5月18日投稿の「キューバ、感染症と国際連帯」の続編になります。
 まずここに至るまでの感染症状況について概観した上で、医療面での感染症対策において、キューバに特徴的な対策とはどのようなものであったのかについて振り返ってみたいと思います。さらにすでに始まっている経済活動の再開へ向けた動きがどう進められようとしているのかにも少し触れておきます。

(1)感染状況

 公共保健省のデータより(6月24日まで)
・累積感染者数(陽性者数) 2321人

・入院者数 155人(以下、内訳)
 ①感染が疑われる患者の入院者数 85人
 ②感染が確認された入院者数 63人(そのうち、症状が安定62人 重体0人 危篤1人)
 ③診療監察での入院者数 7人

・自宅での隔離監察者数 170人
・累積退院者数 2171人
・国外へ搬送した患者 2人(米国1名、カナダ1名)
・死者数 85人
・致死率 3.66%
・PCR検査数 15万9571件 陽性率1.5%
・人口10万人あたりの感染者数 20.5 (キューバの人口1132万人)
・累積感染者のうち、1255人が無症状感染者。また、感染源が不明な人数は101人
・県別の感染者数:多い順にハバナ(1282人)、続いてビジャ・クララ(219人)、マタンサス(205人)