説明
社会問題を考える総合雑誌「アジェンダ」2023年秋号です。
日本の総人口が減少に転じてから約15年が経ち、少子高齢化―生産年齢人口の減少も進んでいます。深刻化する「人手不足」の中で、日本経済は90年代後半以降「長期停滞」を続け、格差と貧困が著しく広がり、この間は急激な「物価高・円安」も加わって人々の生活を苦しめています。ところが国・地方自治体の財政赤字の累積は膨らむ一方で、既にGDPの2倍を超え、人々は福祉制度はじめ日本の社会・経済の「持続可能性」への不安と、こうした状況をもたらしながら「自己責任」を私たちに押し付ける政府への不信感を強めています。今こそ将来の日本のあり方を一人ひとりが深く考えるときです。
今号では国連で採択されたSDGsや日本経済の分析のほか、食料・農業問題、在日外国人と特にその子どもたちの状況、「少子化」に関する考察や、「AI化」をめぐる問題、「リニア中央新幹線計画」など、考えるためのきっかけになるテーマを取り上げました。
※2023/10/13追加
すでに報道等でご承知の方も多いと思いますが、本誌82号(2023年秋号)の巻頭グラビアでご紹介した「岡まさはる記念長崎平和資料館」について、その名前を冠している平和運動家の故・岡正治氏の生前(1994年)の性暴力が被害者の方の証言により明らかになりました。資料館としては、「いかなる性暴力も容認しない」という姿勢を明確にし、対応が遅れたことを含め被害者へ文書での謝罪を行ってきたことをはじめ、この間の経緯についてHPで公表しました。そのうえで今後、館名の変更や展示の見直しを含む対応をとっていくために、資料館は10/10以降、しばらくの間、休館になっています。
岡まさはる記念長崎平和資料館のHP: https://www.okakinen.jp/
『アジェンダ』では、73号(2021年夏号)などジェンダー・女性差別を特集した号で性暴力に反対してきました。岡氏の性暴力は決して許されるものではありません。一方、16号(2007年春号)、49号(2015年夏号)ではこの平和資料館の活動とその意義を紹介してきました。岡氏の没後に建設され(1995年)、今日まで世代を継いで30年近く維持されてきた資料館が日本社会で果たしてきた意義と関係者の努力も、すべてなかったことにすべきではないとも考えます。この事件を公表した資料館が、その反省を踏まえ、今後どのように生まれ変わることができるのか、見守りたいと思います。(編集部)
【特集 持続可能な経済・社会とは?】
グラビア 被害者の痛みを心に刻み戦後補償の実現と非戦の誓いを 岡まさはる記念長崎平和資料館
コラム 〈もうひとつの9・11〉 軍事クーデターから50年
<特集>
・古沢 広祐
「持続可能な社会経済をどう実現するか ― SDGs(大衆のアヘン?)を変革の妙薬に ―」
・山家悠紀夫
「「長期停滞」と「物価高・円安の進行」~2つの難題を抱える日本経済 その背景と対処策を考える~」
・松平 尚也
「問われる世界の持続可能な農業」
・インタビュー 中森俊久さん
「外国にルーツを持つ子どもたちへの人権保障を!」
・谷野 隆
「「AI化」は社会の持続可能性を高めるのか?」
・藤井 悦子
「少子化問題を考える」
・解説 「リニア中央新幹線」計画はただちに撤回を!
・書評 『科学と資本主義の未来 〈せめぎ合いの時代〉を超えて』 広井良典・著
<特集外>
・寄稿 青柳純一
「韓国市民社会と学びあう日本市民(6) 再論・「朝鮮停戦体制を終戦・平和へ」」
・映画紹介 「大コメ騒動」 本木克英 監督
・レポート 7/30 『アジェンダ』創刊20周年記念イベント
<連載>
・康玲子 時代の曲がり角で 第70回 「地球を沸騰させないために」
・大橋さゆり 弁護士Oの何かと忙しい日々 第52回 「トランスジェンダー入門」のおすすめ
・西尾幸治 ラテンアメリカの現在 第12回 「新自由主義はチリで始まり…」、闘いは続く
・コミックアジェンダ 第45回 SLAM DUNK
挿絵 姜花瑛・たまりん
2023年9月15日発行 1冊定価660円(本体600円+税10%)
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