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チリ 新憲法制定のための改正法が成立

昨年9月の国民投票で不承認となり、一旦は挫折したチリの憲法改正ですが、もう一度憲法改正プロセスを進めるための基本文書(「チリのための合意」)が、昨年12月に主な与野党を含む政党間で合意されました。

この「チリのための合意」を具体的に実行する法案審議が年明け早々に始まりました。

1月11日(水)、下院議会が、新しい憲法草案の作成と承認を可能とする憲法改正の手続きに関する法律の改正案を可決しました(賛成109票、反対37票、棄権2票)。

同改正案は、その一週間前の1月4日(水)に、上院で賛成40票、反対4票、棄権2票で承認されていました。

両院で承認された改正法は、13日に公布、17日に官報に掲載されました。

この法令では、50名からなる憲法審議会、24名からなる専門委員会、14名からなる許容性技術委員会の設置や役割などが定められています。

それぞれの役割や構成などについては、昨年12月20日付の配信記事「チリ 憲法改正へ向けて再始動」にまとめていますので、合わせてお読みください。

地元メディアによると、憲法審議会の審議員に選出される市民は、憲法草案を承認するという職務の性格上、他のいかなる公職とも兼務できないことになるため、公職に就いている人は候補者登録をする際にその公職を辞めることになると伝えています。

ここからは、今後のスケジュールをまとめておきます。

まず、上院と下院で、専門委員会と許容性技術委員会の各委員を選出するための会議が開かれます。

委員が決まったのち、両委員会は3月6日に設置されて、活動を始めます。専門委員会は、3か月で改憲草案のたたき台を作成します。

許容性技術委員会は、「チリのための合意」で確認された、憲法の基礎となる12項目に関して、新しい改憲案がその内容を遵守しているかどうかをチェックし、必要があれば修正を求めることになっています。

こうして作成された改憲案のたたき台の中身を検討し、最終的な改憲案をまとめるのが、憲法審議会です。この審議会の審議員は、市民の中から選挙(上院選挙に準じた形)で選出されます。審議会の構成は男女同数原則が適用されます。その選挙は5月7日に実施され、審議会は6月7日に設置、活動を開始します。活動期間は5か月となります。

審議会によって承認された新しい憲法草案は、最終的に国民投票にかけられます。国民投票は、12月17日に実施されます。前回の国民投票では、「承認」か「拒否」が問われましたが、今回は、「賛成」か「反対」で意思を示すことになっています。

今回の再始動に関しては、国会の関与が大きいため、進め方に議員のスケジュールが優先されることや、改憲草案を作成・承認するための条件が煩雑であることに対する批判があります。事実、今回の改正案の審議は上院では二日間だけで、十分な審議ができないとの意見も出ていました。

今後のチリ社会の在り方を決める重要なプロセスである憲法改正の審議が拙速であってはならないと思います。このプロセスが十分に民主主義的なものとして、新たな社会の礎を築いていくことを期待します。

2023年1月28日 西尾幸治(アジェンダ編集員)
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