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キューバ 通貨・為替の整備について

(1)通貨・為替の整備とは

 過去の配信記事(キューバ 来年1月から通貨統合を開始 第26回配信記事)に書きましたように、「通貨・為替の整備」(以下「整備」)と呼ばれる政策転換が始まってからすでに2か月以上が経ちます。

 今回は状況がどのように変化しているのかについて、いくつか特徴的な情報を見ていきたいと思います。大きく分けると、市民生活に関連する部分と企業活動に関連する部分がありますが、今回は主に市民生活への影響というところに絞って見ていくことにします。

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エクアドル 大統領選挙の行方

(1)2月7日に実施された大統領選挙の結果

 2月7日、エクアドルで、正副大統領、国会議員(一院制、137名)、アンデス議会議員(5名)(※)を選ぶ総選挙が実施されました。ここでは大統領選挙についてまとめてみます。

(※)アンデス議会:アンデス共同体(アンデス地域の地域統合体)の機構。各加盟国は5人の議員を普通選挙で選出することになっています。

 今回は16名の候補者が大統領選を戦いました。有権者数は1310万人で、投票率は80.99 %でした。当選条件は、得票率50%以上、もしくは40%以上で次点の候補に10ポイントの差をつけることになっていますが、いずれの候補もこの条件を満たさなかったため、後日上位2名による決選投票が行われます(投票日は4月11日の予定)。

 国家選挙審議会(CNE。中央選管)が、2月19日に報告した最終結果は以下のとおり(ここでは上位3名の結果のみ示しておきます)。とくに2位と3位の得票が僅差であったため、7日に実施されてから最終結果が公表されるまでに12日間も時間がかかりました。

1位:アンドレス・アラウス候補(36歳)、希望のための連合(UNES)、得票率32.72%(303万票)。
2位:ギジェルモ・ラソ(65歳)、機会創出政治運動(CREO)、得票率19.74%(183万票)。
3位:ヤク・ペレス(51歳)、パチャクテク(エクアドル先住民連盟(CONAIE)の政治組織)、得票率19.39%(179万票)。

 この結果により、アンドレス・アラウス候補とギジェルモ・ラソ候補が決戦投票に進出することになりました。

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コロンビア くり返される労働組合員・社会活動家への暴力

(1)くり返される労働組合員・社会活動家に対する殺害事件

 少し前になりますが、昨年11月に公表されたコロンビアについての英BBCの記事を紹介します。『なぜコロンビアに労働組合がほとんど存在しないのか(社会的リーダーの殺害とどう関係しているのか)』(2020年11月25日付記事)というタイトルの記事です。

 記事の冒頭で、昨年11月下旬に起こった社会活動家と労働組合員に対する殺害事件を報じています。以下、他の情報と合わせて再構成しています。

 11月20日頃、ジョニー・ウォルター・カストロさん(40歳)が、コロンビア南部のナリーニョ県リナーレス市にある自宅に侵入してきた男たちの銃撃を受けて殺害されました。ウォルターさんは同地区の紛争の犠牲者の代表として社会活動を行っていました。

 11月22日、同じくナリーニョ県トゥマコ市で、教師で労働組合員であったバイロン・アリリオ・レベロさんの遺体が発見されました。バイロン・アリリオ・レベロさんは誘拐されたのちに殺害され、死体が遺棄されていました。

 記事では「殺害の詳細も具体的な動機も解明されていない。この2名は以前から脅迫を受けていた」とし、共通する要因として、2人が社会的な活動家であったために亡くなったことを指摘しています。

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ベネズエラ マドゥーロ大統領の年次報告

 1月12日(火)、ニコラス・マドゥーロ大統領が新しい国会で年次報告を行いました。その内容に入る前に、ここに至るまでの昨年末からの動きを簡単に振り返ってみます。

(1)昨年末からの主な出来事

(ⅰ)昨年12月6日、国会議員選挙の実施

 国会議員選挙は以下の統一会派によって争われました(投票率は30.5%)。

 政権与党側(チャベス派)では、ベネズエラ社会主義統一党(PSUV)を中心とした統一会派「大祖国機軸」(GPP、9政党)と、ベネズエラ共産党を中心とした会派「革命的人民代替構想」(APR、9政党)が参加しました。

 野党勢力は、選挙に参加するグループとボイコットグループに分かれました。選挙に参加した会派は「民主同盟」(AD、6政党)と、「ベネズエラ団結同盟」(AVU、3政党)の2つでした。

 G4と呼ばれる4つの主要野党である大衆意思党(VP)、正義第一党(PJ)、民主行動(AD)、新時代党(UNT)は、いずれも参加派とボイコット派に分裂しました。選挙結果は、以下のとおりです。ちなみに国会は一院制で定数は277です。

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キューバ 来年1月から通貨・為替レート統合を開始

(1)通貨・為替レートの統合開始の発表

 12月10日、キューバのディアスカネル大統領は、テレビ・ラジオの放送を通じて、来年1月1日から通貨・為替レートの統合を開始することを伝えました(放送には、ラウル・カストロ共産党第1書記が同席)。通貨はキューバペソ(CUP)のみとなり、これまで流通していた「外貨兌換ペソ」(CUC)は廃止となります。為替レートは「1米ドル(USD)=24ペソ(CUP)」に統一されます。このレートは、住民に対しても企業に対しても同じく適用されます。(以前は異なるレートが使われていました)

「対応する必要なすべての法律の作成とチェックが終了したので、1月1日から通貨・為替統合を開始することを通知できる条件が整ったとみなす」とディアスカネル大統領は述べました。

 この統合に伴い、新しい為替レートの設定、外貨兌換ペソ(CUC)の流通中止、過度な補助金や不適切な無償措置の廃止、所得分配における修正などが実施されることになります。