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抗議するチリ、そしてパンデミック

 南米チリでは、2019年10月から政府・政治家に対する民衆の異議申し立ての闘いが燃えあがりました。この「社会的爆発」とも呼ばれる闘争はなぜ生まれ、チリ社会は今後どこへ向かおうとしているのか、その背景について読み解いていきたいと思います。

1.「目覚めた、チリは目覚めた!」(出来事の推移)

 人々の怒りが爆発した直接のきっかけは、サンティアゴの首都圏交通の地下鉄運賃値上げ(10月6日から実施)でした。地下鉄運賃は時間帯で変化し、ラッシュアワーなどのピーク時に高くなります。今回は最高が800ペソから830ペソへの値上げでした。

 翌7日から中等教育の学生たちが、値上げに反対して自動改札を飛び越える無賃乗車デモを始めました。その後、カラビネロスと呼ばれる国家警察軍が駅を警備、学生との衝突が激化して駅施設などが破壊されました。駅は閉鎖され運行にも支障が出ます。

 18日、様々な地区で鍋などを叩いて抗議の意思を示す「カセロラソ」や道路でのバリケード封鎖が始まります。地区の若者たちも抗議行動に参加。地下鉄の駅への襲撃(火災も発生)だけでなく、商業施設やスーパーマーケットなどでの略奪行為も起こりました(全国へ拡大)。

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はじめに

 「ラテンアメリカの現在」は、ラテンアメリカ・カリブ海地域での民衆の社会運動を軸に、その背景となる政治・経済的なニュースをピックアップして紹介するページです。

 2000年代以降、この地域では、新自由主義的グローバリゼーションに抗する社会運動の活発化と連動した「左派・進歩派政権」が台頭してきました。しかし2010年代になって次第に、左派政権の政策面での行き詰まりや右派勢力の巻き返しなどが起こり、ラテンアメリカ社会自身がいろいろな意味で分岐してきています。
 とりわけ、米国ではトランプ政権による介入主義的な対応が強まり、各国内でも権威主義的な政治の傾向が顕著になっています。

 こうした情勢の複雑な変化を踏まえつつ、ラテンアメリカ社会が現在から未来にわたってどう変化していこうとしているのかをできるだけ事実を踏まえ、読み解きながら考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【記事一覧】
キューバ 来年1月から通貨・為替レートの統合を開始(2020年12月16日)
ペルー 大統領の辞職と政治的危機の構図(2020年12月1日)
チリ 憲法議会選挙をめぐって(2020年11月26日)
ボリビア 新大統領の就任演説(2020年11月18日)
チリ、憲法改正の是非を問う国民投票(2020年10月31日)
ボリビアの総選挙について(2)最終結果の公表(2020年10月25日)
ボリビアの総選挙について、左派勢力の勝利へ(2020年10月23日)
キューバの二重通貨問題について(2020年10月15日)
キューバの労働事情(賃金編)(2020年9月29日)
キューバの労働事情(就労編)(2020年9月27日)
コロナ禍のキューバ社会(2020年9月16日)
コロナ禍、債務問題に苦しむアルゼンチン(2020年8月31日)
コロナ禍のラテンアメリカ・カリブ地域(2020年8月18日)
〈危機〉の中のベネズエラ(2020年8月4日)
ベネズエラ、増加する感染者と経済状況(2020年7月27日)
スペインの最低生活所得とベーシックインカム(2020年7月21日)
メキシコ、感染症対策と「新しい日常」、サパティスタの声明(2020年7月6日)
キューバ、感染症対策と経済活動の再開(2020年6月26日)
ペルー、感染拡大から見える社会の矛盾(2020年6月19日)
ブラジルの緊急援助とベーシックインカム(2020年6月12日)
感染拡大が続くブラジル(2020年6月4日)
「コロナ禍」のラテンアメリカ(2020年5月28日)
キューバ、感染症と国際連帯(2020年5月18日)
ボリビアの行方とパンデミック(2020年5月11日)
キューバ、憲法改正から1年(2020年5月4日)
抗議するチリ、そしてパンデミック(2020年4月27日)

(雑誌『アジェンダ』でも「ラテンアメリカの現在―分岐する世界の中で―」というタイトルの連載記事を書いています。)